裾から手を差し入れればやはり男の体だと分かる。
わかりきったこと、見慣れた体、見慣れた顔。衣装と化粧だけでこうも化ける。
女のスリットに欲情したことはあっても、男のスリットに欲情することがあるとは思わなかった。
全てお前だからこそ。お前ならどんな姿でも俺を勃たせる。
俺の太ももが馬みたいだと言って笑った、あの瞬間のお前は何を考えていたのだろう。
お前に深く挿し込む俺に感じる体を思い返していたんだろうか。
下着まで女物。サイズだけはでかい。たまに白いシャツに黒いブラをつける女がいるが。
あれに近いものがある。赤いドレスの下に黒の下着、どうせなら赤で統一すれば。
ますますのめりこむのに。貞操帯の如く、守っているのか、誘っているのか。
鍵をかけるのはいつものこと。周りもどうも思わない。大所帯ではないし。
ふたりでしか話せないこともある。必要以上に警戒心が強い。それは自分たちを守る殻。
そしてこうして、お前を好きに抱ける。ステージ前も、ステージ後も、興奮の度合いは高い。
体がそれを欲するなら、満足行くまで与える。お互いのため、しなくてもいい我慢はしない。
何もかもストイックに過ごしていたら、清らかさだけに溺れてしまう。
俺はそんな人間じゃない。光を集めたいと思うこと、それこそが欲の根源、原動力。
輝くためには、清濁併せ呑むクレイジーさも必要で。
踏み外しそうになる前に、お前を。俺だけの精神安定剤を引き寄せる。
望みは、何か。黒のレースに指を引っ掛けて引き摺り下ろしながら。
脱がせばいつもの体。赤に身を包んだだけで、ラインの違う服を着ただけで。
女と錯覚するほどの美しさ。尻の肉さえ、丸みを帯びて見える。
あてがう、俺にローションをたっぷり塗りこんで、求める口に突き入れる。
繋がれば安堵する。高揚する。鏡の中のお前が、別人すぎて。
あるはずもない乳房を妄想する。手のひらに硬い肉の感触と、小さな突起。
ひらひら、羽飾りがいつしか子供を生むような気さえしてくる。
お前の中に入っていくのを見るのが好きだ。お前の体が俺を咥えるのが。
甘い声を上げる大きな口を、手でふさぐ。漏れる息さえ誰にも聞かせたくない。
俺にとってお前は大切な弟で同士で友人で。何より最愛の。
お前にとって俺はどんな存在かは分からない。ただの同士、それだけでもいい。
俺を受け入れ喘ぐ唇が俺だけのものなら、この体が俺しか知らないなら、欲しくないなら。
手のひらの肉を甘噛みする、お前がいとおしい。
果てるほどの時間もなく、この姿のお前を短時間で抱くのは本当に惜しく。
お前は衣装を汚すまいとスカートをたくし上げようとする。時すでに遅し。
痙攣し始める足を感じて速度を早めれば。お前は首を振りながら身悶える。
窒息させそうな勢いで口を押さえ、腰を動かし続けると、お前は体を大きく震わせて、達する。
まだ足りない。抜きたくもない。それでも、時間が迫っている。
仕方なく解放する。お前は荒い息をついて、ドレッサーにもたれかかって。
や、べえ、じゃん。服、汚した。肩で息をしながら。
買い取れよ。収まりのつかない体を何とか押し込んで椅子に座る。
今度の勝負は、ちゃんと、ゼロから。今回は、お前が強すぎた。
もっとゆっくり、時間をかけてお前を、愛したい。俺に傅く女のお前を、思う存分。
こ、んなの、買い取って・・・、どうす、んだよ。言いながら、ニヤリと。
笑う。振り向いて、大袈裟なため息をついた。
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このお話は、分家で書きました「
黒の情熱、赤の熱情」の焼き直しです。
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